| 往生要集 |
| 全10章3巻からなるが、ここでは上巻の地獄の記述の一部を紹介しよう。 |
「大文第一」
今その相を明さば、惣べて七種あり。一には地獄、二には餓鬼、三には畜生、四には阿修羅、五には人、六には天、七には惣結なり。
第一に、地獄にもまた分かちて八となす。一には等活、二には黒縄、三には衆合、四には叫喚、五には大叫喚、六には焦熱、七には大焦熱、八には無間なり。
初に等活地獄とは、この閻浮提の下、一千由旬にあり。縦広一万由旬なり。
この中の罪人は、互に常に害心を懐けり。もしたまたま相見れば、猟者の鹿に逢えるが如し。おのおの鉄爪を以て互に掴み裂く。血肉すでに尽きて、ただ残骨のみあり。或は獄卒、手に鉄杖・鉄棒を執り、頭より足に至るまで、あまねく皆打ちつくに、身体破れ砕くること、猶し沙だんの如し。或は極めてするどき刀を以て分々に肉を割くこと、厨者の魚肉を屠るが如し。涼風来り吹くに、尋いで活えること故の如し。くつ然としてまた起きて、前の如く苦を受く。或いは云く、空中に声ありて云く、「このもろもろの有情、また等しく活えるべし」と。或は云く、獄卒、鉄叉を以て地を打ち、唱えて「活々」と云うと。かくの如き等の苦、具に述ぶべからず。
人間の五十年を以て四天王天の一日一夜となして、その寿五百歳なり。四天王天の寿を以てこの地獄の一日一夜となして、その寿五百歳なり。殺生せる者、この中に堕つ。 |
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- 惣結:全体を結びくくること
- 閻浮提:おまえたち人間の住む世界
- 由旬:ヨージャナの音写で、インドの距離の単位。約14.4km
- 沙だん:砂の塊、土塊
- 厨者:料理人
- くつ然:たちまち
- 有情:生きとし生けるもの。とくに人間のこと
- 四天王天:四方を守る護法神。東方・持国天、南方・増長天、西方・広目天、北方・多聞天
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